伝え方を工夫する
from:歯科衛生士・入社2年目
歯科治療というものは私たちにとっては日常ですが、患者さんにとっては知らないこと・初めての連続です。
当然、しっかり説明して治療を進めていくのですが、それでも1~2週間に1回程度の通院では患者様も治療の内容を忘れてしまいます。
治療の内容を忘れてしまうということは、通院のモチベーションが下がってしまうということです。通院の優先度が下がってしまったり、治療途中で来なくなってしまう、ということにもなりかねません。
治療中に間が空いてしまうのは歯にとって良いことではありません。来ていただけなくなってしまっては、患者様の歯が悪くなっていくのを黙って見ているようなものです・・・
頑張ってもうまくいかない・・・
虫歯治療以上に、患者様のモチベーションをキープするのが難しいのが「歯周病治療・定期検診」などの患者様です。
歯周病治療や定期検診は、虫歯と違って患者様が痛みを感じにくく、治療の必要性・緊急性を感じていただきにくいので、しっかり通っていただくためにはモチベーションを高める必要があるのです。
私は現在でこそ、多くの患者様にメインテナンスに来院していただけていますが、以前は患者様がなかなか定着せず、どうすれば良いのか悩んでいた時期がありました。
ファンの多いスタッフは何をしている?
私はもともとコミュニケーションがすごく得意なわけではないこともあり、当時はこれが私の精一杯だと思っていました。ただ、せっかく来ていただいた患者様に満足していただけない状況は、DHとしてなかなか心苦しく感じていました。
試行錯誤する中で、ある先輩DHが、他のスタッフに比べて圧倒的に患者様の定着率が高く、ファン患者様が多いことに気づきました。
何が他のスタッフと違うのかが気になり、私はその先輩に直接質問することにしました。
「技術練習をしたり、患者様ともできるだけ話すようにしているのですが患者様のモチベーションを上げることができません。これ以上どうしたらいいか・・・」
と相談すると、
「患者様に検査結果の説明するとき、どんな風にしているか見せてもらうことはできる?」と聞かれ、その場でロープレをさせていただくことになりました。
価値を一方的に押し付けていないか?
先輩を患者様役にしてロープレをした際、先輩がひとつアドバイスをくれました。
「全体的にすごくよくできていると思う。もしひとつだけ改善するなら、患者様に見せる資料かな。ポケットの数値を見せて説明していたんだけど、できればレントゲンや口腔内写真を使って術前術後を見せてあげてほしい。」
このアドバイスは、私にとっては大きな発見でした。
”ポケットの数値”は、私たち歯科衛生士にとっては非常に重要な数値ですが、患者様にとってはその価値は分かりづらく、それよりも「歯ぐきの腫れが引いた」「歯石がしっかりとれた」など目に見えた結果の方が価値を感じ、モチベーションにつながりやすいものです。
医療人として必要な検査、提供したい治療は様々ありますが、必ずしもそれが患者様の満足度と一致する訳ではないのです。
患者様は「時間とお金」を使って来院されています。私たちには、必要な処置を行うのはもちろん、その分の価値を感じていただける工夫が必要なのだと気づかされた出来事でした。